DOBERMAN INFINITYのメンバーとしても活躍する一方、世界的レーベルDef Jam Recordingsから、ソロ名義でアルバム『UNCHAINED』をリリースするSWAY。多岐に渡るバイト経験や、人を大切にするSWAYさんならではのバイト仲間との数々のエピソードを伺いました。
楽曲を通して父母の姿を見ることで、2人の関係性を改めて知れた気がしてる
——今回のアルバムは多数のゲストアーティストや制作陣が参加されていますね。
昔から音楽仲間とお酒を飲むたびに“一緒に何かやりたいね”という話をしていたのが、このアルバムを通して楽曲提供をしてもらったり、仲間とスタジオでセッションをしながら曲を作ったことでようやく形になりました。自分にはなかった要素や、新しいチャレンジが出来た作品になったと思います。
——では、コラボ曲について教えてもらえますか?
「XXX feat.AK-69 & HIROOMI TOSAKA」は、AK-69さんに“なんでアルバムに俺のこと呼んでくれないの!?”って言っていただいて(笑)。お言葉に甘えてリリックを書いていただきました。タイトルには、事務所の違う2人と、自分も交えた“クロスポイント”。そして、ソロプロジェクトがスタートした地点=0から10に向かうという意味での英数字の“10”。そして、いつか辿り着きたい未来の“Xデイ”という思いを、3つのXに込めたんです。
——レコーディングで印象に残っている曲はありますか?
「NAKED」に参加してもらったKM-MARKITくんは、自分が10代の頃から聞いていたラッパーなので、コラボが出来たのは嬉しかったですね。制作時のディレクションは厳しくて、ラップのキーも高いし挑戦ではあったんですけど、いろいろな歌い方を引き出してもらいました。レコーディングを終えた後も、もう1回歌いたくて(笑)。歌い直しということではなく、ゲームを1回クリアして、もう1回違う楽しみを見つけながら挑戦したいっていう感覚でしたね。
——先行配信されている楽曲についてもお伺いできますか?
「Perfect Love」を作詞してもらったTEEくんとは、お互いにカナダのトロントに住んでいたことがあるので、トロントでおきた架空の恋愛をイメージして理想の愛を描いてもらいました。TEEくんじゃないと書けないフレーズや歌詞の世界が満載で、最初はストレートすぎて少し照れてしまう部分もあったんですけど、歌いながら自分のものにしていけた感覚はありました。
実はこのアルバム制作中に僕の母親が亡くなったんですけど、最後のお別れの時に、この曲をかけさせてもらったんです。母を見送る父の姿を見て、息子ながらに自分もこういう夫婦になりたいと感じましたし、この曲を通して2人の姿を見ることで、父母の関係性を改めて知れた気がしました。
——1曲ずつに、とても深い思い入れを感じます。
SHOKICHIやSALUくんもですが、このアルバムは、自分が音楽を始めた10代の頃から、今まで出会ってつながってきた人たちと制作することが出来た作品なので、とても意味のあるアルバムになったと思っています。
自分自身の失敗が個人ではなくお店のクレームにつながる。責任のあり方を学んだ初めてのバイト経験
——では、ここからはバイト経験について聞かせてください。
短期のものも含めると、かなりやりました! ファミレスのキッチン、ビラ配り、ゴルフの実況、居酒屋、洋服屋、車の警備、あとはカナダに住んでいた頃はレストランのホールスタッフや、イベントのチラシを車のワイパーに1台ずつ挟んで回ったり。
——経験豊富ですね。その中で最初に働いたのは?
高校1年の時の、ファミレスのキッチンですね。その頃は、坊主でB-BOYだったので、ヒゲを伸ばせるっていうのが重要なポイントでしたね(笑)。当時は、とにかく洋服が欲しくてバイトを始めたんです。音楽は、プレイヤーから流れるものがあったし、ダンスも練習の場所を選ばなければお金はかからないけど、洋服は自分では作れなかったので。
——初めてのバイトはいかがでしたか?
メニューを覚えるのが大変でした。あとは“責任”というものを初めて感じた場所でした。キッチンのリーダーに怒られた時も「お客様の信用をなくしたら取り返しがつかないんだよ」ということを言われて。それまでの勉強やテストの点数は、自分自身に返ってくるものでしたけど、お客さんからのクレームは自分のせいだったとしてもお店に入る。そう思うと、働くってすごいことだなと感じましたし、叱るだけじゃなく、その理由も含めて教えてくれた店長には感謝しかないですね。そこは2〜3年でしたけど、最初から良い環境で働かせてもらえたと思います。
——上司や先輩の存在は大きいですよね。ちなみに、ゴルフの実況はどんなバイトだったんでしょうか?
メインで解説する人のほかに、プレイヤーの近くで一緒にホールを回りながら状況を伝える人がいるんですけど、その人が使うマイクのアンテナを持つ仕事でした。2日間だったんですけど、生放送に声がのるので喋れないし、くしゃみも出来ない(笑)。ずっと緊張しっぱなしでしたね。
——なかなか出来ない体験ですね(笑)。
あと、変わったところでは北海道にいた頃、手タレもやりました! 地元のビールのCMで、氷の中からビールを持った手がパーンって出てくる映像があって、そこで手タレデビューしました。ただ、自分でも“どの手が俺のだろう?”って最終的には分からなかったんですけど(笑)。
音楽とファッション——バイトを通して好きなものを磨けた北海道時代
——ちなみにSWAY さんは、あえて様々なバイトを選んでいたんですか?
選んでというよりも、友だちの紹介とか、誘われて働くことが多かったですね。だから、短期も多かったんですけど、一番長く続いたのは、北海道にいた頃に働いた洋服屋です。当時は、もう音楽1本で本格的にやりたいと思っていたんですけど、洋服屋さんで社員として働いていた先輩が「音楽をやりながら、好きなファッションも磨いたらいいんじゃない?」って声をかけてくれたんです。
——その先輩と同じ職場で働いたのでしょうか?
僕が働いたのは、夫婦でやっている個人経営のお店だったんですけど、社長が素敵な方で。たとえば、誰かに世話になったとしたら“お金がなくてもお礼にジュースの1本くらい買えるでしょ?”って。物で返すということではなく、小さなことでも感謝を伝える気持ちとか、それを表す行動が大切なんだということを教えてもらいました。上京を決めた時も「決めたなら、今すぐに店はやめて夢に向かってこい」って応援してくれて。バイト先ではありましたけど、人生を教えてもらった大事な4年間でした。
夢をもった人が多かったバイト時代の仲間。彼らと今新たにつながれる醍醐味を感じてる
——その洋服屋では販売をしていたのでしょうか?
販売のほかに、洋服を作ったり、オンラインショップ用の商品画像のモデルとか、洋服の写真を切り抜いて商品画像を作ったり、商品説明を書いたり。あとは、ウェブデザインとか、広告を作ったりもしました。そこで全国の洋服屋の店員さんとも仲良くなったんですけど、今回のアルバムについているブックレットのスタイリングは、その当時からの知り合いの方にお願いしたんです。
——まさに、人とのつながりが活きていますね。
友だちは100人以上います(笑)。バイト時代に出会った人と、いまだにこうして仕事が出来ているのはほんとうにありがたいと感じますし、そのおかげでDOBERMAN INFINITYでは、飛行機を1台貸してもらえて。
——飛行機ですか!?
はい。『TERMINAL』(2016年リリース)というアルバムを作った時に、久々に会ったバイト時代の友だちが航空会社の広報部に勤めていて、「飛行機借りれる?」って聞いたら、PV撮影の時に貸してもらえたんです! あまりない出来事だと思うんですけど、でも誰にとっても何があるか分かりませんからね(笑)。バイト先には、比較的夢を持った人が多くて、その人たちと話すことで頑張れることも多かったので、本当に1人1人との出会いとかつながりは、すごく大切だなと思います。
自分の“好き”と“持久力”を伸ばせるのがバイトの魅力だと思う。
——では、これからバイトを始める方にメッセージを。
今32才になって改めて思うのは持久力の大切さ。たとえば、大変なことがあった時に、そこで踏ん張る力は、コツコツ積み重ねてきた人にこそ備わっているものだと思うんです。バイトは、自分の“好き”を伸ばすことも出来るし、キツイ仕事を頑張って持久力をつけることもできる。人とのつながりはもちろん、知らない世界を知れるのがバイトだと思うので、楽しみながら頑張ってほしいなと思います。
SWAY(スウェイ)
4MC+1Vocalの男性グループDOBERMAN INFINITYのメンバーとしてMCを担当するほか、2016年に結成されたグループHONEST BOYZ、HiGH & LOWで結成されたMIGHTY WARRIORSのメンバーとしても活動。さらに、劇団EXILEのメンバーであり、本名の野替愁平で俳優としても活躍している。
ソロ・アーティストとしても10代の頃から地元・北海道でラッパーとして活動。昨年11月、世界的レーベルDef Jam Recordingsより「MANZANA」でソロメジャーデビュー。
SWAY OFFICIAL SITE:https://www.universal-music.co.jp/sway-d/
DOBERMAN INFINITY OFFICIAL SITE:http://dobermaninfinity-ldh.jp/
SWAY OFFICIAL Twitter:@sway_official
SWAY instagram:@sway_ldh
企画・編集:ぽっくんワールド企画
撮影:河井彩美
取材・文:原 千夏