青春ラブ米マンガ『あきたこまちにひとめぼれ』の作者・吉谷光平さんが、9月26日にツイッターの掲載した「お米の分布図」が、2万7000リツイートを越える反響を呼んでいます。
お米を選ぶときの参考にどうぞ? pic.twitter.com/OXJZUN0pRb
— 吉谷光平 ?9月28日単行本? (@kakikurage) 2017年9月26日
これだけお米の種類があることに驚かされますよね。しかし、好みのお米を見つけるために、すべてを食べ比べるのは大変。そこで、『あきたこまちにひとめぼれ』の監修者で「お米の分布図」の制作者でもある、米穀店スズノブ代表・西島豊造さんに、学生さんにオススメの銘柄を男女別に聞きました。
【男子向け】甘みが強くて食べ応えのある“もっちり”系銘柄
西島さん曰く、お米はコストパフォーマンス的に学生に向いている主食なのだそう。
「お米って5kg、10kgとまとめて買うので、高いイメージがあると思います。でも、1食分は大体10kgの1/100。あきたこまちが10kgで4000~5000円程度なので、1食だと40~50円なんです。パンや麺類を買う方が、食費がかさむ可能性が高いですね」(西島さん・以下同)
では、ここからが本題。西島さんが改訂した最新版「お米の分布図」を元に、まずは男子学生にオススメの銘柄を教えてもらいました。
「さまざまな年代、性別の方に食べ比べてもらった結果、男性は分布図の上半分を好む傾向があります。特に若い男性はあまり噛まずに飲み込むので、粘り感や甘みが強く、食べ応えがあるお米が合うと思いますよ」
今年デビューの新銘柄。これまでの表現では食感が表せない新感覚のお米。粒が大きくツヤがあり、お米離れが進んでいる若者のハートもつかみそう。ハンバーグやカレー、から揚げなど、子どもが好きな料理との相性バツグン。少し硬めに炊くと、オムライスにもぴったり。冷えてもおいしいため、おにぎりやお弁当にも向いている銘柄。
●いちほまれ
“ポストコシヒカリ”として開発された、平成30年デビューの新銘柄。粒感がありながら硬すぎず、でもベタつかない。お米自体の個性は強くないため、和洋中すべての料理にマッチ。牛丼や天丼、天津飯など丼物との相性もよく、甘みもあるため、麻婆豆腐など味の濃い料理とも合います。男子学生の定番料理・卵かけごはんとの相性も◎。
【女子向け】おかずをそっと支える“あっさり”系銘柄
「女性は食べやすさや喉越し、おかずとのバランスを重視する傾向があります。さっぱり炊けるものが好きな方も多いので、分布図でいうと右上にあるぴかまるより下の位置している銘柄がいいでしょう」
起き抜けでも茶碗1杯食べられるほど、あっさりした銘柄。胃の小さな女性でも、パクパク食べられるでしょう。まさにおかずの引き立て役で、数種類のおかずと一緒に食べてもバランスがいいところが特徴。お米自体に味がつくお茶漬けや炊き込みご飯などにも、向いています。料理に対する順応性はピカイチ。
●あきたこまち
デビューしてから30年以上、安定した質を保っている定番銘柄。分布図の中心に置かれるように、誰もが食べやすく、幅広い料理に合わせられるお米。旨みや甘みがありながら、粘りが少なくて喉越しがよく、素材の味を生かした和食とよく合います。スーパーなどで手に入りやすいところも魅力。
特別な道具は必要なし! お米マイスターが教える研ぎ方・炊き方の極意
いくらおいしいお米を手に入れても、炊き方がヘタだとすべて台無し。どの銘柄でも、家の炊飯器でおいしく炊ける方法を、教えてもらいました。
(2)ボウルなどに白米を入れて、浄水器の水かミネラルウォーターを注ぎ、軽くかき混ぜて水を捨てる。最初の水はお米が吸水しやすいため、きれいな水で、とにかく素早く10秒程度で済ませる。
(3)もう一度水を入れ、軽くかき混ぜて、素早く水を捨てる。この時は水道水でもOK。
(4)水を切った白米に、ソフトボールを握ったような形の手を入れ、一定のリズム、スピードでシャカシャカと20回程度かき回す。ゴシゴシと強く混ぜるのはNG。
(5)デンプンや汚れを浮かせるため、水を入れて2~3回かき混ぜ、水を捨てる。この工程を2回行う。
(6)(4)と同じ手順で10回程度かき回し、再度(5)を行う。
(7)炊飯器の釜にお米を入れ、目盛りに合わせて浄水器の水やミネラルウォーターを入れたら、炊飯器スイッチON。
(8)炊上がりのブザーが鳴ったら、炊飯器の蓋を開けて熱と蒸気を逃がし、しゃもじでお米を十字に切って、粒をつぶさないように1/4ずつひっくり返す。その後、米粒の間に空気を入れるようにほぐす。
西島さんの話によると、今年は夏場の気候が安定せず、雨が多かったため、全国的にお米が不作なのだとか。そのため、お米を買う場所に注意すべきとのこと。
「スーパーで売られているお米は、出荷基準を満たしたものなので、質がいいものだけが売られていると思って問題ありません。ネット上で売られているお米は、注意が必要です。明確な出荷基準がなく、生産者が直に売っていることも多いため、低品質のものが混ざっている可能性があります。普段は生産者が直接売っているものは安心感があるのですが、今年に限ってはスーパーで買った方が確かです」
まとめ
西島さんは、「今年は各銘柄の出荷量も少なくなっているため、1つの銘柄をまとめて買うことが難しいかもしれません。見つけた銘柄を少量買って、試すいい機会」とも教えてくれました。平成23年以降にデビューした銘柄も多いため、食べ比べしてみるのもよさそうです。まだまだ食べ盛りの男子も、栄養バランスが気になる女子も、分布図を見ながらお米を選んで、好みの銘柄を探してみてはいかがでしょうか。
取材・構成・文:有竹亮介(verb)
イラスト:吉谷光平