冬に食べたい熱々グルメのひとつといえば、やっぱり「おでん」。鍋から立ち込める湯気と出汁の香りは、寒さで芯まで冷えた身体にはなんとも魅力的ですよね!
そんなおでんには、各地域固有の特徴があることをご存知ですか? あなたが当たり前に思っているそのおでんにも、実は他県出身者から見れば驚くべき点があるかも!? 今回は、そんな「おでん」にまつわる地域差について調べてみました!
1.ちくわぶは関東ローカル? 全国のローカルおでん種
大根、たまご、昆布……、おでんに入れる食材は多種多様。それだけに、その地域限定のローカルおでん種も多いんです。
まずは、その白くギザギザとしたルックスと、モチモチとした食感が特徴の「ちくわぶ」。小麦粉を練って作られるこちらは関東発祥で、ほかの地域ではほとんどお目にかかることがないのだとか。
@BSJ_HINATA 博多のおでんには「餃子巻き」っていうのがあるとです!
屋台で食べるとバリうまいとです! pic.twitter.com/TXpSbbJwe7— taka?熱男ファイヤー? (@taka0419iwgp) 2016年11月16日
福岡県には「餃子巻き」という、餃子を魚のすり身で包んで揚げたおでん種があるそう。博多の鉄板餃子が有名な地域とはいえ、おでんにまで入れてしまうとは驚きです。
赤棒!!おでんに入れると美味しいですよ赤棒!!玉子巻きとかもありますよ!!!あとおでんは献立いろいろ味噌かつけてみそかけてみそ必須!! pic.twitter.com/VxGX8bvWyH
— きくもと (@Shino_Hana20) 2015年10月31日
愛知県名古屋市では、「赤棒」と呼ばれるピンク色に着色された棒状のさつま揚げが有名。富山県にも「赤巻」なるおでん種があり、こちらは外側が赤く、渦巻き模様が白い、色味が逆転した“なると”のこと。高知県では「すまき」という練り物をおでんに入れるそうで、こちらもきれいなピンク色。どれもおでんに入れると、かなり目立ちそうですね……。
2.里芋? えびいも? おでんに入れる“いも”は「じゃがいも」だけじゃなかった!
全国的におでんに入れる“いも”といえば、「じゃがいも」が一般的。ところが、九州や北陸、東北地方の一部では、「里芋」が使われることが多いのだとか。東北には有名な「芋煮会」もあり、里芋のほうが好まれる傾向があるのかも。
【Facebook】本日は、晩秋から冬限定の特別なサトイモ、「海老芋(エビイモ)」をご紹介します。https://t.co/l0UEK37kcz pic.twitter.com/UrRRTLDSSl
— 農林水産省 (@MAFF_JAPAN) 2016年11月28日
また、京都府では里芋のなかでも、「えびいも」と呼ばれる京野菜が好んで使われるそう。こちらはその名の通り、えびのような縞模様と湾曲した形が特徴の里芋。通常の里芋よりも、粘り気が強いのが特徴だとか。
3.こんにゃくは白い? 黒い? 赤い!? 地域差を調べてみた
おでんの定番「こんにゃく」は、地域によって色に違いがあるそう。東京より西では、海藻を練り込むなどして色を付けた黒いこんにゃくがほとんどなのに対し、東北地方より北では、白いこんにゃくが主流とのこと。
滋賀みやげ。
赤こんにゃく、3年前初めて見た時は衝撃的だった?#滋賀県#赤こんにゃく pic.twitter.com/tRdjB14r2X— じぇんてぃる旦那 (@gentil_danna) 2016年11月19日
なんと、滋賀県の近江八幡市では、白でも黒でもなく、赤いこんにゃく(!)がおでんに用いられているそう。着色剤ではなく、三二(さんに)酸化鉄 で赤く色付いており、鉄分が豊富に含まれているのだとか。
また、東京都出身の筆者は「はんぺん」といえば白いものだと思い込んでいましたが、どうやらこれにも地域差があるよう。静岡県中部では、サバやいわしを原料とした黒いはんぺんが一般的なのだとか。真っ黒いつゆで有名な静岡おでんには、はんぺんも黒いほうがマッチするのでしょうか。
4.“すじ”といえば牛すじ? 練り物? 関東と関西ではこんなに違う!
関西で“すじ”といえば、牛のすじ肉が串にささった「牛すじ」のこと。最近こそ関東でも市民権を得てきたおでん種ですが、一昔前の関東で“すじ”といえば、白身魚のすり身に軟骨を加えた、コリコリとした食感が特徴の練り物のことを指しました。
愛川屋の人気商品上位にいつもあります「すじ」400円
生の青サメからしか作りません。
何とも、もっちり食感。
削ぎ切りにして油を敷いたフライパンで温めるなどすると
より美味しい!
おでん種だけではないんですよ^_^#愛川屋 pic.twitter.com/x1VQk4mRyc— 笹塚 愛川屋 (@sasazuka_aikawa) 2016年9月1日
また、関東と関西では、おでんのつゆも大きく異なります。かつお節で出汁を取り、濃口しょうゆで色付けしたつゆが主流の関東に対し、関西は昆布ベースの出汁を使った薄口仕上げのつゆが主流です。
先に挙げた「ちくわぶ」だけでなく、実は「はんぺん」も関西では馴染みの薄い、関東特有のおでん種だそう。フワフワ浮かぶ白い物体、関西の方からすると、さぞビックリでしょうね。
大阪のおでんはネタが結構違う。鯨系が多い。さえずりとかコロとか。写真はコロ。プニプニ。 pic.twitter.com/hPIhtRxWsf
— 大阪徘徊ブラックウイドウ (@haikaihuku) 2016年2月29日
関西特有のおでん種としては、クジラの皮を乾燥させた「コロ」や、同じくクジラの舌を乾燥させた「さえずり」が有名。どちらも現在は希少品となり、なかなか手の届かない高級おでん種のようです。
5.砂糖をつけて食べる地域アリ!? つけダレ事情を調べてみた
おでんを食べるとき、つける調味料としては「からし」が一般的ですが、こちらも地域によっていろいろなバリエーションがあるようです。
名古屋は、さすが味噌文化の街! コンビニのおでんにも味噌だれがついてくることが多いのだそう。また、同じ味噌でも香川県では白味噌に砂糖を加えたもの、石川県には白味噌に生姜を加えたものがあるそう。一口に味噌だれといってもさまざまですね。
また、醬油をつけて食べるという地域もあり、兵庫県姫路市では生姜醤油、長野県の一部ではネギを漬け込んだ醤油だれが親しまれているそう。
なお、長崎県の一部では、おでんに砂糖をつけて食す文化があるとか!別名“シュガーロード”と呼ばれる長崎街道を擁す、砂糖に親しみのある県とはいえ、これには驚き。ちょっと味の想像がつきません……。
6.北海道では「マフラー」を? 変わった名前のおでん種
「マフラー」をおでんに入れる、と聞くとビックリしてしまいますが、こちらは首の防寒具ではなく、れっきとした北海道のおでん種。さつま揚げの一種で、その細長い形状から命名されたそう。
@riobravo1610 おでんに入れる「マフラー」知ってる?「マフラー」 pic.twitter.com/v5DlnUVwHY
— りお (@riobravo1610) 2016年11月23日
「天ぷら」は同じく、さつま揚げの関西地方での呼び名。ちなみにさつま揚げの本場、鹿児島では「つけ揚げ」と呼ばれているそうですよ。
「人工衛星」は長崎県佐世保市のおでん種。魚のすり身に、細かく刻んだイカゲソを入れて揚げたものです。その丸みを帯びたルックスから、別名「ゲンコツ」とも呼ばれているそう。どちらにせよ、おでんに入っていたら驚く名前ですよね!
地域によって、こんなにも違う「おでん」の世界。ますます寒くなるこれからの季節にピッタリの話題のはず。自分と違う出身地のバイト仲間や学校の友達との、ちょっとしたコミュニケーションのきっかけにしてみては?
文:児玉裕紀(verb)
参照・参考サイト
・紀文アカデミー 【おでん】教室
https://www.kibun.co.jp/knowledge/oden/basics/iroiro/
・おでん博物館
http://www.odengaku.net/
・きになるきにする おでん 具の種類
http://kinisuru.com/oden-material-11208
・カネテツデリカフーズ おでんのお話
http://www.kanetetsu.com/oishisa/chiikisei.html
・Jタウンネット 全国の調味料・薬味事情を大調査
http://j-town.net/iwate/life/athome/207538.html?p=all
・ウィキペディア おでん
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%A7%E3%82%93
・食べ物新日本紀行
http://waga.nikkei.co.jp/play/kiko.aspx?i=MMWAg2000024032009
http://waga.nikkei.co.jp/play/kiko.aspx?i=MMWAg2001024032009
http://waga.nikkei.co.jp/play/kiko.aspx?i=MMWAg2002024032009
・Jブロ
http://blog.j-cast.jp/saseboo/archives/3293477.html