会社などに勤める人が働けなくなった時に年金を給付する制度、それが厚生年金保険。老後をはじめ、病気やけがによる障害時、死亡時には遺族に年金が給付される。元気に働ける会社員のうちに厚生年金の保険料を納め、将来に備えているのだ。
年金の仕組み
国が国民を対象として運営する「公的年金」は2階建ての構造になっている。1階は全国民共通の「国民年金」。フリーターはこの1階部分のみ加入している第1号被保険者だ。会社員になると2階に相当する厚生年金にも加入する第2号被保険者となる。
フリーターと正社員の年金受給額の違い
老齢厚生年金(65歳から支給される厚生年金)※1
●正社員の場合
●フリーターの場合
独身の場合 | 月約15万7500円 (年約189万円)※2 |
独身の場合 | 月約6万6000円 (年79万2100円)※4 |
|
|||
夫婦の場合 | 夫が年約189万円、 妻が年79万2100円で 合計月約22万3300円 (年約268万円)※3 |
夫婦の場合 | 月約13万2000円 (年158万4200円)※5 |
夫は20歳〜22歳の2年間は学生、22歳〜60歳まで38年間は月平均33万円の収入を得て働いていたとしよう。22歳から正社員となって厚生年金に加入していた場合、国民年金と厚生年金の両方を受給できる。同じ収入でも、フリーターの場合は国民年金しか受給できない。また、夫が正社員なら1人分の厚生年金保険料を支払うことで妻の国民年金も払ったとみなされる。だが夫がフリーターの場合は、妻は自分の分の国民年金を別途支払わなければ年金を受けることができないのだ。
- ※1 試算は、社会保険庁のウェブサイトにある「自分でできる年金額簡易試算」で。
http://www4.sia.go.jp/sodan/nenkin/simulate/top.htmで計算。 - ※2 夫:平均報酬が月額33万円、20歳〜22歳の2年間を国民年金、22歳〜60歳まで38年間を厚生年金に加入し、65歳からの支給として計算。
- ※3 妻:20歳〜22歳の2年間を国民年金に加入。22歳で夫と結婚して専業主婦になり(収入なし)、22歳〜60歳は夫が厚生年金に加入して妻の国民年金を支払った第3号被保険者として計算。
- ※4 夫:平均報酬が月額33万円、20歳〜60歳の40年間を国民年金に加入し、65歳からの支給として計算。
- ※5 妻:20歳〜22歳の2年間を国民年金に加入。22歳で夫と結婚して専業主婦になる(収入なし)が、22歳〜60歳は自ら国民年金に加入し、65歳からの支給として計算。
- ※ すべて10円以下は四捨五入。
- ※ 社会保険庁のウェブサイトに、厚生年金受給者の平均給与月額が33万円(H12.3末)とあったので、平均報酬は月額33万円と仮定。
保険料負担と年金受給額
20歳〜60歳の平均報酬が…
月額25万円 | 保険料は月1万9,035円、年金は月約13万5,800円(年約163万円) |
---|---|
|
|
月額33万円 | 保険料は月2万4,891円、年金は月約15万7,500円(年約189万円) |
|
|
月額35万円 | 保険料は月2万6,356円、年金は月約16万800円(年約193万円) |
厚生年金は過去の給料が高かった人ほど受給額が多くなる仕組み。保険料率1,000分の146.42で、事業主と被保険者が半分ずつ負担することになっている。その点は、毎月1万4,100円の全額を自己負担する国民年金よりお得?
- ※20歳〜22歳の2年間を国民年金、22歳〜60歳まで38年間を厚生年金に加入し、65歳からの支給として計算(上記と同じサイトで算出)。
- ※保険料は折半額(事業主との折半後、自己負担額)を記載。
- ※年金は10円以下は四捨五入。
- ※国民年金の保険料(月1万4,100円)はH19.4月以降の金額。
監修/寺田晃(特定社会保険労務士)